就職活動のES、転職サイトの応募条件、昇進の社内基準――あらゆる場面で「TOEIC 600点以上」という数字が求められるようになりました。2023年度のTOEIC公開テスト受験者の平均スコアは612点で、600点は「英語力の標準ライン」とも呼ばれる水準。
しかし、初めてTOEICを受ける方にとって600点は簡単な目標ではないでしょう。リスニング45分間・リーディング75分間の合計2時間、200問を解き切る体力と戦略が求められます。ここでは、初心者が600点を突破するための具体的な勉強法・参考書・スケジュールを網羅しました。
- TOEIC 600点のレベル感と英検との換算
- 初心者が600点を取るために必要な勉強時間(200〜300時間)
- 3ヶ月で600点を突破する具体的なスケジュール
- パート別の攻略戦略と時間配分
- 2026年版おすすめ参考書・アプリ
TOEIC 600点のレベル感と取得メリット
TOEIC 600点は英検に換算すると2級〜準1級の間に位置する水準。シンプルなビジネスメールの読み書きや、定型的な電話応対がこなせるレベルです。日常会話はある程度聞き取れるものの、会議でのディスカッションや専門的なプレゼンテーションにはまだ不安が残るでしょう。
就活・転職での評価ライン
多くの企業がTOEICスコアを採用基準に取り入れており、600点は「英語を使う業務に挑戦できる最低ライン」として広く認知されています。大手メーカーの海外営業職で650点以上、商社で700点以上を求めるのが一般的ですが、事務職や技術職であれば600点で十分にアピール材料になるでしょう。
また、社内昇進試験の条件としてTOEIC 600点を設定している企業も増加傾向。年収アップやキャリアアップの選択肢を広げる上でも、600点は取得しておきたいスコアです。
600点到達に必要な勉強時間と現実的なスケジュール
一般に、TOEICのスコアを100点上げるには200〜300時間の学習が必要とされています。現在のスコア別の目安は次の通り。
| 現在のレベル | 目標600点までの時間 | 1日1時間の場合 | 1日2時間の場合 |
|---|---|---|---|
| 300点台(初学者) | 450〜600時間 | 約15〜20ヶ月 | 約8〜10ヶ月 |
| 400点台(基礎あり) | 300〜450時間 | 約10〜15ヶ月 | 約5〜8ヶ月 |
| 500点台(中級手前) | 150〜300時間 | 約5〜10ヶ月 | 約3〜5ヶ月 |
「3ヶ月で600点」を実現するには、現在500点前後の方が1日1.5〜2時間を確保するケースが最も現実的でしょう。400点台からのスタートでも、通勤時間や昼休みの隙間学習を組み合わせて3〜4ヶ月で到達した事例は数多くあります。
3ヶ月で600点を突破するロードマップ

500点前後の初心者が90日で600点を突破するための具体的なスケジュールを紹介します。
1ヶ月目:基礎固め(単語・文法・リスニング耳作り)
最初の30日間は土台作りに集中する期間。
- 単語:「金のフレーズ」の600点レベル(約400語)を1日20語ペースで周回。朝の通勤時間に10語、夜の復習で10語が効率的でしょう
- 文法:Part 5対策として中学英文法の総復習に取り組みます。主語と動詞の一致、時制、前置詞の使い分けが重点ポイント
- リスニング:公式問題集のPart 1・2音声を毎日15分シャドーイング。最初は0.8倍速から始め、2週目以降は等速に切り替えてください
2ヶ月目:パート別強化(得点源を作る)
基礎が固まったら、各パートの攻略に移行する段階。
- リスニング(Part 1・2):正答率80%以上を目標に設定。Part 1は写真描写の頻出パターン(人物の動作・位置関係)を暗記し、Part 2は疑問詞の聞き取りに集中してください
- リスニング(Part 3・4):設問を先読みする練習の徹底がカギ。音声が流れる前に設問と選択肢に目を通す習慣をつけると、聞くべきポイントが明確になるでしょう
- リーディング(Part 5・6):1問20秒ペースで解く練習を繰り返します。品詞問題・前置詞問題・接続詞問題の3類型を集中的に攻略するのが近道
- リーディング(Part 7):シングルパッセージの短文問題から着手し、1日3問ずつ精読。速読よりも正確な読解を優先してください
3ヶ月目:実戦演習(模試+弱点補強)
ラストスパートの30日間は本番を意識した実戦練習。
- 公式問題集のフル模試を週1回・2時間通して解く(集中力を鍛える狙い)
- 模試の結果から弱点パートを特定し、平日はそのパートだけを集中的に復習
- 残り1週間は新しい教材に手を出さず、これまでの問題集を総復習して自信を固めてください
パート別攻略のコツと時間配分
TOEIC 600点を狙う場合、リスニング300〜350点・リーディング250〜300点という配分が最も効率的な戦略。リスニングはリーディングより短期間でスコアが伸びやすいため、リスニングで貯金を作るのがセオリーです。
| パート | 問題数 | 目標正答率 | 攻略の鍵 |
|---|---|---|---|
| Part 1(写真描写) | 6問 | 83%(5/6) | 消去法+受動態表現の聞き取り |
| Part 2(応答問題) | 25問 | 72%(18/25) | 疑問詞の聞き取り+間接応答パターン暗記 |
| Part 3(会話問題) | 39問 | 62%(24/39) | 設問先読み+場面の推測 |
| Part 4(説明文問題) | 30問 | 60%(18/30) | 冒頭30秒に集中+メモ取り |
| Part 5(短文穴埋め) | 30問 | 67%(20/30) | 品詞問題を瞬殺(1問15秒) |
| Part 6(長文穴埋め) | 16問 | 56%(9/16) | 文脈判断問題を捨てない |
| Part 7(読解問題) | 54問 | 50%(27/54) | シングルパッセージ優先 |
リーディングの時間配分は「Part 5に10分、Part 6に8分、Part 7に57分」が理想的でしょう。600点レベルではPart 7のトリプルパッセージ(最後の15問)を全問解き切るのは難しいため、シングルパッセージとダブルパッセージで確実に得点することを優先してください。
2026年版おすすめ参考書・アプリ

必須の2冊:公式問題集と金のフレーズ
TOEIC対策で最初に揃えるべきは「公式TOEIC Listening & Reading問題集」(最新刊は約3,300円)と「TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ」(約979円)の2冊。公式問題集はETSが作成した本番同品質の問題が収録されており、これを繰り返し解くだけで600点は十分に射程圏内に入ります。実際に「公式問題集と金フレの2冊だけで650点取れた」という声も少なくないでしょう。
文法対策:1駅1題 TOEIC L&R TEST 文法特急(約935円)
Part 5・6対策に特化した問題集で、コスパに優れた一冊。通勤電車の中で1駅につき1問解ける分量で構成されており、隙間時間の学習にぴったりです。「なぜこの選択肢が正解か」だけでなく「なぜ他の選択肢が不正解か」まで踏み込んだ解説が秀逸でしょう。
アプリ:スタディサプリENGLISH TOEIC対策コース
月額3,278円の有料アプリですが、AIによる弱点分析、動画講義、ディクテーション練習が1つに集約されています。スマホだけで完結する学習環境を構築できるため、通勤時間を有効活用したい方に最適。7日間の無料体験を利用して、自分に合うかどうか判断してみてください。なお、一般教育訓練給付金の対象講座であれば受講費用の20%(上限10万円)がハローワークから支給される場合もあるため、対象かどうか事前に確認しておくとよいでしょう。
よくある質問

Q. TOEIC 600点は「すごい」のですか?
受験者全体の平均スコアが612点(2023年度)のため、「すごい」というより「標準的な英語力の証明」という位置づけ。たですし、TOEICを受けたことがない層を含めると、600点は日本人全体の上位30%程度に相当するとも言われています。
Q. リスニングとリーディング、どちらを先に対策すべきですか?
リスニングを先に強化するのがおすすめ。短期間でスコアが伸びやすく、Part 1・2は比較的得点しやすいパートです。リスニングで300点以上を安定させてからリーディング対策に注力する順番が効率的でしょう。
Q. 公式問題集は何冊必要ですか?
最新の1冊を徹底的にやり込むのが最優先です。1冊を3周してもまだ余裕があれば、もう1冊追加してください。「広く浅く何冊も」よりも「1冊を深く何周も」の方がスコアアップに直結するでしょう。
Q. 英検とTOEICはどちらを受けるべきですか?
ビジネスシーンでの活用にはTOEIC、大学入試や留学には英検が適しています。社会人の転職・昇進ではTOEICスコアを求められるケースが圧倒的に多いため、キャリア目的ならTOEICを優先してください。
Q. 600点取得後、次は何点を目指すべきですか?
700点が次の目標として現実的。600点から700点への100点アップには追加で200〜300時間の学習が必要とされていますが、600点で固めた基礎があるため、学習効率は初期段階よりも格段に上がるでしょう。
Q. 試験当日、時間が足りなくなったらどうすればいいですか?
600点レベルではPart 7のトリプルパッセージ(問題176〜200)を全問解き切れないのは珍しくありません。残り5分で未着手の問題がある場合、全てBかCでマークするのが統計的に最も有利な戦略です。空欄は0点確定ですが、マークすれば25%の確率で正解を拾えるでしょう。
夏の学習意欲を600点という結果につなげよう
TOEIC 600点は、正しい教材と戦略的な学習計画があれば、初心者でも3〜6ヶ月で到達できる現実的な目標。必要な初期投資はテキスト2〜3冊分の約5,000〜7,000円と受験料7,810円の合計15,000円以下です。このコストで就活・転職・昇進の選択肢が広がると考えれば、非常にリターンの大きい自己投資でしょう。
今日から「金のフレーズ」の1ページ目を開いて、まずは1日20単語を始めてみてください。3ヶ月後、スコアシートに「600」の数字が並んだ瞬間、この夏の努力が確かな形になって返ってくるはずです。



















