10月3日の時点で、第174回日商簿記検定(2026年11月15日・日曜)までは残り43日、ちょうど6週間ほどです。3級に合格した勢いで2級に挑もうとしている方、夏に一度テキストを開いたものの工業簿記で手が止まっている方にとって、ここからの6週間をどう使うかで結果は大きく変わります。
実は、2級の統一試験には「11月回は合格率が高めに出やすい」という傾向があります。第171回(2025年11月)の合格率は23.6%でしたが、第172回(2026年2月)は15.1%まで下がりました。難易度の波はあるものの、11月はチャンスの回と言われています。
この記事でわかること
- 残り6週間で間に合う人・間に合わない人の見極め方
- 独学の勉強時間の目安と、1日あたりの必要時間の計算方法
- 第1問〜第5問の配点から逆算した「捨てない問題・深追いしない問題」
- 週ごとの逆算スケジュールと過去問・予想問題の回し方
- 間に合わないと判断したときのネット試験への切り替え方
簿記2級を独学で受ける前に知っておきたい試験の基本データ
勉強法を決める前に、まず敵の形を正確に把握しておきましょう。2級は試験時間90分・100点満点・70点以上で合格という絶対評価の試験です。周りの受験生との競争ではないため、配点の大きい問題で確実に点を積み上げる戦略が通用します。
| 大問 | 主な出題内容 | 配点 | 目標点 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 商業簿記の仕訳5問 | 20点 | 16点 |
| 第2問 | 株主資本等変動計算書・連結会計・有価証券・固定資産など | 20点 | 10〜12点 |
| 第3問 | 損益計算書・貸借対照表の作成、本支店会計など | 20点 | 12〜14点 |
| 第4問 | 工業簿記の仕訳(12点)+個別論点(16点) | 28点 | 22点 |
| 第5問 | 標準原価計算・CVP分析・直接原価計算など | 12点 | 10点 |
表を見ると、第1問・第4問・第5問の3つで合計60点を占めています。ここで48点前後を確保できれば、第2問・第3問は合わせて22点取れれば合格ラインに届く計算です。独学で時間が限られている方ほど、この配分を意識した勉強が欠かせません。
統一試験とネット試験の違い
2級は、11月15日の統一試験(ペーパー)のほかに、全国のテストセンターで随時受けられるネット試験(CBT方式)があります。出題範囲・試験時間・合格基準は同じで、ネット試験はその場で合否がわかるのが特徴です。ただし統一試験の前後は施行が止まり、2026年11月は11月9日(月)〜11月18日(水)がネット試験の休止期間とされています。
残り6週間で間に合う?独学の勉強時間から逆算する

簿記2級の独学に必要な勉強時間は、3級合格者で250〜350時間程度が目安と言われています。3級の知識があいまいな方や、簿記をゼロから始める方はさらに100時間ほど上乗せして考えておくと安全です。
ここから1日あたりの必要時間を計算すると、現実が見えてきます。
| 現在の進み具合 | 残りの目安時間 | 43日で割った1日の時間 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 商業・工業ともテキスト1周済み | 約100〜120時間 | 約2.5〜3時間 | 十分に間に合う |
| 商業簿記のみ1周済み | 約170〜200時間 | 約4〜4.5時間 | 社会人はかなり厳しい |
| 3級合格直後でこれから着手 | 約250〜300時間 | 約6〜7時間 | ネット試験への切り替えも検討 |
平日2時間・休日5時間のペースだと、6週間で確保できるのはおよそ120時間です。テキストを一通り終えている方にとっては十分な量ですが、これから始める方には足りません。判定が厳しい場合でも、勉強そのものは無駄になりません。11月は申込だけして実力を確認し、12月以降のネット試験で合格を取りにいく二段構えも立派な戦略です。
独学に向いている人・向いていない人
- 向いている人:3級を80点以上で合格した方、毎日決まった時間を確保できる方、わからない論点を自分で調べて解決するのが苦にならない方
- 苦戦しやすい人:連結会計の解説を読んでも図がイメージできない方、工業簿記の勘定の流れでつまずいたまま進んでいる方
苦戦しやすいタイプでも、無料の解説動画や問題集付属の解説を組み合わせれば独学で合格している方は少なくありません。全部を有料講座に頼る必要はなく、苦手な論点だけ動画で補うやり方が費用対効果の高い選択と言えます。
配点から考える簿記2級の独学勉強法と優先順位

限られた時間で70点に届かせるには、論点ごとに「必ず取る」「半分取る」「深追いしない」を決めておくことが大切です。
最優先:工業簿記(第4問・第5問)で40点中32点
独学合格者の多くが口をそろえるのが「工業簿記は得点源」という点です。商業簿記より範囲が狭く、出題パターンもある程度決まっています。費目別計算・部門別計算・個別原価計算・総合原価計算・標準原価計算・CVP分析の6論点を、勘定連絡図(材料→仕掛品→製品→売上原価の流れ)を自分で描けるところまで練習しておきましょう。この図が描ければ、第4問の仕訳12点はほぼ取りこぼさなくなります。
次点:第1問の仕訳で20点中16点
第1問は5問の仕訳で、1問4点です。リース取引、ソフトウェア、外貨建取引、税効果会計、圧縮記帳、サービス業の役務収益など、2級で新しく出てくる取引を中心に出題されます。毎日10問の仕訳を解く習慣をつけると、6週間で400問以上をこなせる計算になり、本番での迷いが大きく減ります。
深追いしない:連結会計と難しめの第2問
連結会計は第2問で出ると配点20点になるため捨てきれませんが、連結第2年度以降の細かい処理までは追いかけすぎないほうが無難です。資本連結・のれんの償却・非支配株主持分・内部取引の相殺といった基本部分で8〜10点を拾えれば十分です。第2問が極端に難しい回は、他の受験生も点が取れていません。焦って時間を使うより、第3問・第4問・第5問を先に固めるほうが合格に近づきます。
解く順番は「第1問→第4問→第5問→第3問→第2問」が安定
本番では、確実に取れる問題から手をつけるのが定石です。目安の時間配分は、第1問15分・第4問20分・第5問10分・第3問25分・第2問15分、残り5分を見直しに充てる形です。過去問演習の段階からこの順番で解いて、時間感覚を体に覚えさせておきましょう。
11月15日まで6週間の逆算スケジュール

テキストを一通り終えている方を想定した、平日2〜3時間・休日5時間のスケジュール例です。進み具合に合わせて前後にずらして使ってください。
| 期間 | テーマ | やること |
|---|---|---|
| 第1週(10/3〜10/9) | 工業簿記の総復習 | 勘定連絡図を毎日1回描く/総合原価計算・標準原価計算の問題集を1周 |
| 第2週(10/10〜10/16) | 商業簿記の弱点つぶし | 仕訳を毎日10問/連結会計の基本3パターン/税効果会計 |
| 第3週(10/17〜10/23) | 予想問題・過去問1周目 | 90分通しで1日1回分/間違えた論点をテキストに戻って確認 |
| 第4週(10/24〜10/30) | 過去問2周目 | 1周目で60点未満だった回を解き直し/第3問の財務諸表作成を重点練習 |
| 第5週(10/31〜11/6) | 本番形式の総仕上げ | 本番と同じ13:30開始で通し演習/時間配分を固める |
| 第6週(11/7〜11/14) | 調整期 | 新しい問題には手を出さず、間違いノートと仕訳の総復習のみ |
この表で特に意識したいのが第5週の「13:30開始」です。2級は午後の試験なので、昼食後の眠くなりやすい時間帯に集中力を保つ練習をしておくと本番で慌てません。実際に休日に本番と同じ時間で解いてみると、意外と後半の第2問で手が止まることに気づくはずです。
過去問・予想問題の回し方のコツ
- 1回分を解いたら必ずその日のうちに復習する。翌日に回すと、なぜ間違えたかを忘れてしまいます
- 間違えた問題は「知識不足」「計算ミス」「時間切れ」の3種類に分けて記録する
- 同じ回を2回目に解いて80点を超えたら卒業。何度も解いて答えを覚えるだけの状態は避けましょう
- 統一試験の問題は過去問として市販されていますが、2022年度以降の出題区分変更に対応した新しい版を選ぶことが大切です
働きながら独学する人の時間の作り方
平日に2時間を確保するのは、仕事をしながらだと簡単ではありません。現実的には、通勤中の30分で仕訳アプリや一問一答、昼休みの20分で前日の復習、帰宅後の70分で問題演習のように細切れ時間を組み合わせる形が続けやすいでしょう。電卓を使う計算練習は机でしかできないため、まとまった時間はそこに優先的に回すのがコツと言えます。
簿記2級を取ると何が変わる?求人・年収・スキルへの効き方
6週間走り切るには、合格後のメリットを具体的にイメージしておくことも大切です。簿記2級は、経理・財務の求人で「日商簿記2級以上」が応募条件や歓迎条件として明記されることの多い資格として知られています。未経験から経理職への転職を考える場合、実務経験の代わりに基礎知識を証明する材料として扱われるのが一般的です。
企業によっては資格手当として月5,000〜10,000円程度を支給する例もあり、年間にすると6万〜12万円の年収差が生まれます。決算書を読み解くスキルは、営業職で取引先の経営状態を把握したり、管理職として部門の損益を管理したりする場面でも役立ちます。工業簿記で学ぶ原価計算の考え方は、製造業の企画職やコスト管理の仕事にも直結する知識です。
独学で行き詰まった論点だけ講座で補いたい場合は、厚生労働省の教育訓練給付金(一般教育訓練給付)の対象講座かどうかを確認しておくと安心です。対象講座であれば、雇用保険の加入期間などの条件を満たした方に、受講費用の20%(上限10万円)がハローワークを通じて支給されます。申請は受講修了後になるため、11月の試験に向けて使う場合は講座の学習期間にも注意しましょう。
独学合格者がやりがちな失敗と対策
独学で2級に挑戦した方の体験談を見ていくと、つまずくポイントには共通点があります。代表的なものを先に知っておくだけで、同じ遠回りを避けられます。
テキストを2周してから問題に入ろうとする
テキストを完璧に理解してから問題集へ、という順番は時間が足りなくなる典型です。2級は解いて初めて理解できる論点が多いため、テキストの1章を読んだらすぐ対応する問題を解くサイクルで進めたほうが定着が早くなります。
工業簿記を後回しにする
商業簿記から順番に勉強した結果、工業簿記に手をつけたのが試験2週間前だった、という声は非常に多く聞かれます。工業簿記は40点分もある得点源です。商業簿記と並行して、早い段階から毎日少しずつ触れておきましょう。
独学に必要な教材と準備物
教材を増やしすぎると、どれも中途半端になりがちです。独学なら次の組み合わせで十分戦えます。
簿記2級 テキスト(商業簿記・工業簿記)
市販の独学向けテキストは、商業簿記と工業簿記で2冊に分かれているタイプが主流で、1冊あたり1,800〜2,500円前後です。図解が多く、各章の終わりに基本問題が付いたものを選ぶと、読む→解くのサイクルを回しやすくなります。2026年度の出題区分に対応した最新版かどうかは必ず確認しましょう。
簿記教科書 パブロフ流でみんな合格 日商簿記2級 商業簿記 テキスト&問題集 2026年度版 (EXAMPRESS) [ よせだ あつこ ]
1,980円 (税込)
簿記2級 過去問題集・予想問題集
本番形式の問題を通しで解く練習は、合否に最も直結します。簿記2級 過去問題集や予想問題集は1冊2,000円前後で、統一試験とネット試験の両方に対応した模擬問題が収録されているものが便利です。解説が丁寧で、間違えやすいポイントに注意書きがあるものを選んでください。
合格するための本試験問題集 日商簿記2級 2026年SS対策【統一試験&CBT試験対応/ネット模試プログラムつき/簿記検定2級対策/TAC現役講師陣による解説付き/過去問・予想問題集】(TAC出版) (よく
3,940円 (税込)
簿記検定向けの電卓
12桁表示で、キーが大きく押しやすい簿記検定向けの電卓がおすすめです。価格は2,000〜5,000円ほどで、早打ちに対応したキーロールオーバー機能付きのモデルなら入力ミスが減ります。3級で使っていた電卓がある方は、そのまま使って問題ありません。
簿記2級の独学勉強法についてよくある質問
Q. 簿記3級を持っていなくても2級を受けられますか?
A. 受けられます。日商簿記は受験資格の制限がなく、いきなり2級から受験することも可能です。ただし2級は3級の知識を前提に作られているため、3級の範囲を理解していないと勉強時間が大きく増えます。3級のテキストをざっと1周してから2級に入るのが効率的です。
Q. 独学で簿記2級に一発合格する人はどのくらいいますか?
A. 独学者に限った公式データはありませんが、統一試験全体の合格率は15〜25%前後で推移しています。独学でも、工業簿記を得点源にして過去問を十分に回した方は一度で合格しているケースが多いです。
Q. 1日何時間勉強すれば間に合いますか?
A. 必要な総時間を残り日数で割って考えるのが確実です。テキストを1周済みなら1日2.5〜3時間、これから始めるなら1日6時間以上が目安になります。後者の場合は、12月以降のネット試験を視野に入れた計画をおすすめします。
Q. 統一試験とネット試験はどちらが受かりやすいですか?
A. 試験範囲と合格基準は同じです。ネット試験は自分の都合で日程を選べ、その場で結果がわかる点がメリットです。一方で、統一試験は年3回の決まった日に向けて計画を立てやすく、目標が明確になるという利点があります。
Q. 連結会計がまったく理解できません。捨ててもいいですか?
A. 完全に捨てるのはおすすめしません。第2問で出題されると20点分の配点があり、基本的な資本連結とのれんの処理だけでも部分点を積み上げられます。応用的な処理は後回しにして、基本パターンだけ押さえておきましょう。
Q. 11月の試験に間に合わなかった場合、次はいつ受けられますか?
A. 次の統一試験は2027年2月の予定です。ネット試験であれば、休止期間(2026年11月9日〜18日)を除いてほぼ通年で受験できます。11月に受けた結果をもとに、弱点を補強してからネット試験で再挑戦する方も少なくありません。
今日から6週間、簿記2級の独学を走り切るために
簿記2級の独学は、配点の大きい工業簿記と第1問の仕訳で土台を作り、過去問を通しで回すことで合格ラインが見えてくるはずです。まずは今日、自分のいまの進み具合を上の表に当てはめて、1日あたりの必要時間を計算してみてください。
時間が足りると判断できたら、手持ちの教材に過去問題集を1冊加えて第1週のスケジュールから始めましょう。足りないと感じた場合も、11月の統一試験を力試しの場にして、ネット試験で合格をつかむ道があります。どちらを選んでも、今日から積み上げた時間は確実に合格へ近づく材料になります。
