個人情報を扱う部署に異動が決まった、取引先から「個人情報の管理体制を説明してほしい」と言われた。そんな場面で名前が挙がりやすいのが個人情報保護士認定試験です。とはいえ民間資格なので情報が少なく、「合格率は何%?」「独学で何時間勉強すればいい?」「12月の試験に今から間に合う?」と迷う方も多いでしょう。
結論から書くと、個人情報保護士は平均合格率41.5%・受験料11,000円・試験時間150分の中堅レベル資格です。法律の暗記だけでなく、情報セキュリティ対策の知識も同時に問われる点に特徴があります。
この記事でわかること
- 2026年度の試験日程(第81回は12月13日・申込締切10月29日)
- 受験料・合格率・合格基準などの具体的な数字
- 独学の勉強時間目安と、残り約10週間で間に合わせるスケジュール例
- ITパスポート・情報セキュリティマネジメント試験との比較と「結局どれを取るべきか」
個人情報保護士の難易度と合格率は?数字で見る試験の実態
個人情報保護士認定試験は、一般財団法人 全日本情報学習振興協会が実施する民間資格です。国家資格ではないものの、2005年の個人情報保護法全面施行以降、企業の総務・人事・情報システム部門を中心に受験者が増えてきました。公式発表による受験者の平均年齢は34.1歳で、学生よりも社会人の受験が中心となっています。
試験の基本データ一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 主催 | 全日本情報学習振興協会 |
| 受験資格 | なし(誰でも受験可) |
| 試験時間 | 150分(10:00〜12:45) |
| 問題数 | 100問(課題Ⅰ・課題Ⅱ 各50問) |
| 出題形式 | 多肢選択式(マークシート/CBT/IBT) |
| 合格基準 | 課題Ⅰ・課題Ⅱ それぞれ正答率70%以上(難易度により調整あり) |
| 平均合格率 | 41.5%(公式発表の過去平均) |
| 受験料 | 一般11,000円/学生8,800円(税込) |
| 試験回数 | 年4回(3月・6月・9月・12月) |
合格率41.5%は「普通〜やや難しい」レベル
合格率41.5%という数字は、およそ受験者の5人に2人が合格する計算になります。ITパスポート(約50%)よりやや低く、宅建(約17%)よりはずっと高い位置づけです。
注意したいのは、合計点ではなく課題ごとに70%の足切りがある点。課題Ⅰ(法律)で45問正解しても、課題Ⅱ(セキュリティ)が34問止まりなら不合格になります。実際に受験した方の声として多いのは「法律は得意だったのに、セキュリティ用語の問題で取りこぼした」というパターンで、片方だけを集中的に勉強する作戦は通用しにくい試験になっています。
課題Ⅰと課題Ⅱの出題範囲
- 課題Ⅰ(個人情報保護の総論):個人情報保護法とマイナンバー法。法律の目的、個人情報・個人データ・保有個人データの違い、第三者提供のルール、漏えい時の報告義務など
- 課題Ⅱ(個人情報保護の対策と情報セキュリティ):脅威と対策、組織的・人的・物理的・技術的安全管理措置、暗号化やアクセス制御などの技術用語
実際にテキストを開くと、実務経験がない方が戸惑いやすいのは、課題Ⅰの「個人情報」と「個人データ」の使い分けでしょう。データベース化されているかどうかで義務の範囲が変わるため、用語の定義から丁寧に押さえる必要があります。
2026年度の試験日程と申込締切・受験料の内訳

2026年度(令和8年度)は年4回の実施です。2026年10月6日時点で申込できるのは第81回(12月)と第82回(2027年3月)の2回になります。
| 回 | 試験日 | 状況(10月6日時点) |
|---|---|---|
| 第79回 | 2026年6月21日(日) | 終了 |
| 第80回 | 2026年9月27日(日) | 終了・結果待ち |
| 第81回 | 2026年12月13日(日) | 申込締切 10月29日 |
| 第82回 | 2027年3月14日(日) | 申込受付予定 |
受験方式ごとの費用差
受験料は基本11,000円ですが、受験方式によって追加料金が発生します。
| 受験方式 | 追加料金 | 一般の総額 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 公開会場(マークシート) | 0円 | 11,000円 | 大都市圏在住・費用を抑えたい人 |
| CBT(テストセンター) | 1,500円 | 12,500円 | 日程を柔軟に選びたい人 |
| オンラインIBT(自宅) | 3,000円 | 14,000円 | 会場が遠い地方在住の人 |
公開会場は札幌・仙台・東京・横浜・名古屋・大阪・福岡など主要都市が中心です。地方在住で会場まで往復2時間以上かかるなら、交通費を考えるとIBTの3,000円上乗せでも割安になるケースがあります。
会社負担にできるか確認しておく
総務・情報システム部門では、個人情報保護士を推奨資格に指定し受験料を補助する企業もあります。社内の資格取得支援制度や報奨金の有無は、申込前に人事部へ確認しておくと自己負担を減らせるでしょう。
独学の勉強時間目安と残り10週間のスケジュール例

個人情報保護士の勉強時間は、公式には示されていません。ただ、出題範囲と合格率から逆算すると、初学者で60〜100時間、実務で個人情報を扱っている方で40〜60時間が現実的な目安になります。1日1時間なら2〜3ヶ月、平日1時間+休日3時間なら約6〜8週間の計算です。
バックグラウンド別の勉強時間
| タイプ | 勉強時間の目安 | 重点 |
|---|---|---|
| 法律・IT とも初学者 | 80〜100時間 | 課題Ⅰの用語定義から |
| ITパスポート取得済み | 50〜70時間 | 課題Ⅰ(法律)中心 |
| 総務・人事で個人情報を扱う実務者 | 40〜60時間 | 課題Ⅱ(セキュリティ技術)中心 |
第81回(12/13)に向けた10週間プラン
10月6日から試験日までは約10週間あります。平日45分・休日2時間で進めると、合計およそ65時間を確保できます。
- 第1〜3週(10/6〜10/26):公認テキストで課題Ⅰを1周。個人情報保護法の条文番号は覚えず、「誰に・何の義務があるか」を表で整理
- 第4〜5週(10/27〜11/9):課題Ⅱを1周。安全管理措置の4分類と、マルウェア・不正アクセスの代表用語を優先
- 第6〜8週(11/10〜11/30):過去問題集を課題別に解き、正答率60%未満の分野をテキストへ戻って復習
- 第9〜10週(12/1〜12/12):150分通しの模擬演習を2回以上。時間配分は1問約1分半が目安
申込締切の10月29日は第4週の始まりにあたります。勉強を始めてから「間に合いそうか」を3週間ほど見極めて申し込む、という使い方もできるでしょう。
失敗しやすいポイント
- テキスト515ページを最初から完璧に読もうとして、課題Ⅱにたどり着く前に挫折する
- 改正前の古い問題集で勉強し、漏えい報告の義務化など2022年4月施行の改正点を落とす
- 本番の150分に慣れず、後半のセキュリティ問題で集中力が切れる
ITパスポート・情報セキュリティマネジメントとの比較

個人情報やセキュリティに関する資格は、個人情報保護士以外にもいくつかあります。代表的な3資格を並べると、立ち位置の違いが一目でわかるはずです。
| 資格 | 区分 | 受験料 | 合格率 | 勉強時間目安 | 主な強み |
|---|---|---|---|---|---|
| 個人情報保護士 | 民間 | 11,000円 | 41.5% | 60〜100時間 | 個人情報保護法・マイナンバー法に特化 |
| ITパスポート | 国家(IPA) | 7,500円 | 約50% | 100〜180時間 | IT全般の基礎・知名度が高い |
| 情報セキュリティマネジメント | 国家(IPA) | 7,500円 | 約70% | 80〜200時間 | 組織のセキュリティ管理を体系的に学べる |
意外に感じるかもしれませんが、合格率だけを見ると国家資格の情報セキュリティマネジメント試験のほうが高い数字になっています。個人情報保護士は法律の細かい知識を問う問題が多く、合格率以上に「暗記の量」で差がつく試験です。
結局どの資格を取るべきか
- 総務・人事・コールセンター・医療事務など、個人情報を日常的に扱う方 → 個人情報保護士。法律知識がそのまま社内規程づくりや問い合わせ対応のスキルとして使えます
- IT 部門以外で、まず IT の基礎を示したい方 → ITパスポート。履歴書での知名度は3資格の中で最も高いでしょう
- 情報システム部門や、社内のセキュリティ担当を任された方 → 情報セキュリティマネジメント試験。ただしIPAのCBT試験は2026年12月27日で一旦休止し、2027年春に新制度へ移行予定です
個人情報保護士と情報セキュリティマネジメント試験は出題範囲が3割ほど重なるため、2つを続けて受けると効率よくダブル取得できます。
個人情報保護士を活かせる仕事と年収・転職への影響
個人情報保護士は、取得しただけで年収が大きく上がる資格ではありません。それでも、求人票の「歓迎資格」欄に名前が載るケースは総務・法務・情報管理の職種で見かけます。
- 総務・法務:プライバシーポリシーや社内規程の改定、委託先管理
- 人事:従業員のマイナンバー管理、採用応募者データの取り扱い
- コールセンター・BPO:顧客情報を扱う現場のリーダー職、Pマーク(プライバシーマーク)運用担当
- 医療・介護事務:要配慮個人情報(病歴など)の取り扱いルールの理解
Pマークを取得・更新している企業では、社内教育担当者に個人情報保護士を求めることがあります。資格手当は月3,000〜5,000円程度に設定している企業が見られますが、支給の有無は会社ごとに大きく異なる点は理解しておきましょう。
合格に役立つ教材・テキストの選び方
個人情報保護士は市販教材の種類が少ないため、迷ったら主催団体が監修する公認教材を軸にするのが近道です。
改正法対応 個人情報保護士認定試験 公認テキスト
主催団体が発行する公認テキスト(税込2,420円・515ページ)です。出題範囲を網羅しており、最初の1冊としては最も確実でしょう。ページ数が多いので、課題Ⅰ・課題Ⅱの各章の冒頭まとめを先に読み、全体像をつかんでから細部に入る使い方がおすすめです。
個人情報保護士認定試験 公式過去問題集
過去問題集は、本番と同じ100問構成で演習できる点が強みです。課題ごとの正答率を記録しながら2〜3周すると、足切り70%を下回りやすい分野が見えてきます。購入時は改正法対応の最新版かどうか、発行年を必ず確認してください。
通信講座・オンライン講座
独学での挫折が心配な方は、資格の通信講座や動画講座を使う方法もあります。費用は1万〜3万円前後が中心で、テキストと過去問だけの独学より高くなりますが、法律用語を音声で解説してもらえるため初学者の理解は早まるでしょう。
個人情報保護士についてよくある質問
Q1. 個人情報保護士は独学でも合格できますか?
独学で合格する方は多く、公認テキストと過去問題集の2冊で60〜100時間学習するのが一般的なパターンです。法律が苦手な方は、課題Ⅰに勉強時間の6割を配分すると安定しやすくなります。
Q2. 資格に有効期限や更新はありますか?
個人情報保護士は認定後に登録が必要で、更新制度が設けられています。更新の要件や費用は改定されることがあるため、合格後に届く案内や主催団体の公式サイトで最新情報を確認してください。
Q3. 第81回の申込締切はいつですか?
12月13日(日)実施の第81回は、申込締切が2026年10月29日です。CBT・IBTを選ぶ場合は日程や予約枠の条件が異なることがあるので、早めの申込が安心でしょう。
Q4. ITパスポートと個人情報保護士、どちらが難しいですか?
合格率はITパスポートが約50%、個人情報保護士が41.5%で、数字上は個人情報保護士のほうがやや難関です。ただし勉強時間はITパスポートのほうが長くなる傾向があり、法律の暗記が得意かIT用語が得意かで体感の難しさは変わります。
Q5. 学生でも受験する意味はありますか?
学生料金8,800円で受験でき、事務職や情報管理職を志望する就職活動では「個人情報の扱いを理解している」アピール材料になります。ただ知名度は国家資格ほど高くないため、ITパスポートと組み合わせて取得すると説得力が増すでしょう。
Q6. 試験当日の持ち物は何が必要ですか?
公開会場の場合は受験票・写真付き身分証明書・HBの鉛筆またはシャープペンシル・消しゴムが基本です。150分と長丁場なので、時間を確認できる腕時計(通信機能のないもの)も用意しておきましょう。
12月の試験に向けて今日から準備を始めよう
個人情報保護士は、受験料11,000円・合格率41.5%・勉強時間60〜100時間が目安の資格です。課題ごとに70%の足切りがあるため、法律とセキュリティをバランスよく学ぶことが合格への最短ルートになります。
第81回(12月13日)の申込締切は10月29日。今週中に公認テキストを手に入れて課題Ⅰの第1章を読み始めれば、10週間で十分に合格圏を狙えます。まずは勤務先の資格支援制度を確認し、受験方式(会場・CBT・IBT)を決めるところから動き出してみてください。
