令和7年度秋期の応用情報技術者試験(AP)は、受験者44,005人に対して合格者10,792人。合格率は24.5%で、ほぼ4人に1人しか受からない計算です。基本情報技術者試験の合格率が40%前後で推移していることを考えると、一段上の壁があることがわかります。
そのうえ令和8年度(2026年度)からはCBT方式へ移行し、「科目A」と「科目B」を別々の期間に受験する仕組みに変わりました。前期の申込みは2026年10月6日から11月7日まで受け付けており、今まさに受験を決めるタイミングです。
この記事でわかること:
- 令和8年度前期・後期のCBT日程と申込みの流れ
- 科目A・科目Bの出題数、試験時間、合格基準
- 知識レベル別の勉強時間(200時間〜500時間)と週別スケジュール例
- 独学者が科目Bで選ぶべき分野・避けたい分野
- 独学で使う参考書3冊と、通信講座を検討すべきケース
令和8年度の応用情報技術者試験はCBT方式に|日程と試験の仕組み
これまで春期・秋期の年2回、全国一斉の筆記試験で行われてきた応用情報技術者試験は、令和8年度からCBT(Computer Based Testing)方式に切り替わりました。受験者はテストセンターのパソコンで問題を読み、キーボードとマウスで解答します。
前期試験のスケジュール
| 項目 | 期間 |
|---|---|
| 申込受付 | 2026年10月6日(火)10時〜11月7日(土)17時 |
| 科目A試験 | 2026年10月28日(水)〜11月10日(火) |
| 科目B試験 | 2026年11月24日(火)〜12月6日(日) |
| 受験手数料 | 7,500円(税込) |
申込みはIPAの案内に沿って、CBTの運営会社(シー・ビー・ティ・ソリューションズ)のサイトから行います。科目Aと科目Bは申込み時に両方の日時を同時に予約する方式のため、科目Bまでの準備期間を逆算して会場と日時を選ぶのがコツです。後期試験は2027年2〜3月頃の実施が見込まれており、詳細はIPAが順次発表するとしています。
科目A・科目Bの出題形式と合格基準
名称が「午前・午後」から「科目A・科目B」に変わったものの、出題形式・出題数・試験時間は従来と同じと案内されています。
| 区分 | 試験時間 | 出題・解答数 | 形式 | 合格基準 |
|---|---|---|---|---|
| 科目A | 150分 | 80問すべて解答 | 四肢択一 | 60点以上/100点 |
| 科目B | 150分 | 11問中5問を解答(問1必須+10問から4問選択) | 記述式 | 60点以上/100点 |
科目Aはテクノロジ系が約50問、マネジメント系が約10問、ストラテジ系が約20問という配分が目安です。科目Bの問1は情報セキュリティで必須。残り4問を、経営戦略・プログラミング・ネットワーク・データベース・プロジェクトマネジメント・システム監査など10分野から選びます。
勉強時間の目安とレベル別スケジュール

応用情報技術者試験の勉強時間は、スタート地点で大きく変わります。一般的な目安は次のとおりです。
| スタート地点 | 勉強時間の目安 | 1日1.5時間なら |
|---|---|---|
| 基本情報技術者試験に合格済み | 約200時間 | 約4〜5ヶ月 |
| IT実務経験あり・基本情報は未取得 | 約300時間 | 約6〜7ヶ月 |
| IT初学者(ITパスポート程度) | 約500時間 | 約11ヶ月 |
CBT化で科目Aと科目Bの間に約2〜4週間の間隔が生まれた点は、独学者にとって追い風です。科目A直後から科目Bの記述対策に集中できるため、従来のように午前と午後を同日に詰め込む必要がなくなりました。まだ基本情報を受けていない人は、ITパスポートと基本情報の比較記事で順番を検討しておくと遠回りを防げます。
基本情報合格者向け: 16週間スケジュール例
- 第1〜4週: 教科書を1周。科目Aの頻出分野(セキュリティ・ネットワーク・データベース)を優先
- 第5〜8週: 過去問道場などで科目Aの過去問を1日30〜40問。正答率70%を目標に
- 第9〜13週: 科目Bの選択4分野を決め、過去問を1日1問ずつ解いて解説を読み込む
- 第14〜16週: 科目B本番形式で150分通し演習を週2回。記述の字数感覚を固める
平日は通勤時間にスマホで科目Aの過去問、週末に机で科目Bの記述演習というリズムが続けやすいパターンです。土曜の午前中に150分通しで解く習慣をつけておくと、本番の集中力の配分もつかめます。
独学で科目Bを突破する分野選び

応用情報の合否を分けるのは科目Bです。記述式で部分点の幅があり、分野選びを間違えると得点が安定しません。独学者に向いている分野と、慎重に選びたい分野を整理しました。
| 分野 | 独学との相性 | 理由 |
|---|---|---|
| 情報セキュリティ(問1) | 必須 | 毎回出題。科目Aの知識がそのまま得点源に |
| 経営戦略 | ◎ | 計算問題が少なく、文章読解で得点しやすい |
| プロジェクトマネジメント | ◎ | 本文中にヒントが多く、実務未経験でも対応可能 |
| システム監査 | ○ | 問題文の言葉を抜き出す設問が多い |
| データベース | ○ | SQLが得意な人には安定した得点源 |
| ネットワーク | △ | 知識量が問われ、年度による難易度差が大きい |
| プログラミング(アルゴリズム) | △ | 得意なら高得点、苦手だと時間を大きく消費 |
本番では予定の4分野+予備1分野を準備しておくのが定石です。実際の試験では、得意なはずの分野が難化する年もあります。問題を開いて「設問の半分も解けそうにない」と感じたら、予備分野に切り替える判断基準をあらかじめ決めておくと、150分の時間配分が崩れません。
記述で点を落とす典型パターン
- 指定字数(例: 25字以内)を大きく下回る解答で、要素が不足している
- 問題文中の用語を使わず、独自の言い回しで書いてしまう
- 「なぜか」を問う設問に、結果だけを書いてしまう
実際に過去問を解いてみると、記述で失点する原因の多くは知識不足ではなく「書き方」にあると気づくはずです。模範解答と自分の解答を並べ、どの語句が採点ポイントになっているかを確認するだけで、記述の精度は大きく上がります。
独学で使いたい参考書・問題集3選

書籍は「教科書1冊+過去問題集1冊+科目B特化本1冊」の3冊構成で十分です。冊数を増やすより、同じ本を2〜3周するほうが得点につながります。
徹底攻略 応用情報技術者教科書 令和8年度
徹底攻略 応用情報技術者教科書は瀬戸美月氏による定番の教科書で、価格は2,860円前後です。科目Aの全範囲を網羅しつつ、各章末に過去問演習が付いているため、インプットとアウトプットを1冊で往復できます。分厚さに圧倒される人もいますが、頻出マークの付いた節から読み進めれば、1周目は約60時間が目安です。
応用情報技術者パーフェクトラーニング過去問題集 令和08年
直近の過去問を詳しい解説付きで収録した問題集で、価格は2,420円前後です。科目B(旧午後)の解説が丁寧で、なぜその解答になるのかを問題文の該当箇所に戻って確認できる構成になっています。本番形式の通し演習用に向いています。
応用情報技術者午後問題の重点対策
応用情報技術者午後問題の重点対策はアイテックの科目B(旧午後)特化本で、価格は3,740円前後です。分野ごとに解き方の型が整理されており、選択分野を絞った後の集中対策に役立ちます。CBT化後も科目Bの出題形式は従来と同じと案内されているため、旧年度版の内容も十分に活用できるでしょう。
独学が難しいと感じたら通信講座も選択肢
500時間クラスの学習が必要なIT初学者や、記述の添削を受けたい人なら、通信講座の活用も検討に値するはずです。一部の講座は教育訓練給付金の対象になっており、条件を満たせば受講料の20%(上限10万円)が支給されます。対象講座の探し方は教育訓練給付金2026完全ガイドで整理しています。
合格後のキャリアと年収への影響
応用情報技術者試験はIT系の国家資格の中でも「中級の証明」として扱われ、合格後のメリットは主に4つです。
- 資格手当: SIerやIT企業では月5,000〜20,000円程度の手当を設定している例が見られます
- 高度試験の午前I免除: 合格から2年間、高度試験・情報処理安全確保支援士試験の午前I(科目A-1相当)が免除されます
- 転職時の評価: 未経験からIT業界へ移る際、基礎知識を客観的に示す材料になります
- 他資格との単位互換: 中小企業診断士の1次試験「経営情報システム」の科目免除などにも使えます
セキュリティ分野へ進みたい人は、情報セキュリティ資格おすすめガイドで次のステップを比較してみると、学習の方向性が定まりやすくなります。
よくある質問
Q1. 応用情報技術者試験は独学でも合格できますか?
独学での合格者は多く、市販の教科書と過去問題集で十分に対応できます。特に基本情報合格者であれば、200時間前後の学習で合格ラインに届くケースが一般的です。
Q2. CBT方式になって難易度は変わりましたか?
出題形式・出題数・試験時間は従来と同じと案内されています。ただし受験日が人によって異なるため、問題は複数のパターンから出題される仕組みになると考えられます。
Q3. 科目Aに不合格だと科目Bはどうなりますか?
科目Aが60点に満たない場合、科目Bは採点されません。科目Aを確実に突破するため、過去問の正答率を70%以上まで高めておくと安心です。
Q4. 基本情報技術者試験を飛ばして応用情報から受けても大丈夫ですか?
受験資格の制限はないため、いきなり応用情報から受験することは可能です。ただしIT初学者の場合は勉強時間が500時間前後に膨らむため、学習期間を長めに見積もりましょう。
Q5. 過去問だけで合格できますか?
科目Aは過去問の再出題が多く、過去問中心の対策でも得点しやすい傾向があります。一方で科目Bは初見の長文を読み解く力が必要なため、教科書で基礎を固めたうえで過去問を解くのが効率的です。
Q6. 合格発表はいつですか?
CBT方式では科目B試験の実施期間終了後に合格発表が行われます。前期試験の具体的な発表日は、IPAの公式サイトで確認しておきましょう。
前期の申込み締切11月7日までに受験日を決めよう
応用情報技術者試験は、合格率24.5%という数字ほど「才能の壁」がある試験ではありません。勉強時間を確保し、科目Bの分野選びを早めに決めた人から合格に近づきます。
まずは教科書を1冊手に取り、目次を見て頻出分野を確認するところから始めましょう。前期の申込締切は2026年11月7日(土)17時。準備期間が足りないと感じる場合は、後期試験を目標に今日から学習計画を立てておくのがおすすめです。


















